6C19P CSPP since Mar 2009 |
拙作 6L6 CSPP(+P) 同様に出力段CSPP(クロスシャントプッシュプル)のアンプです。
CSPP回路について詳しく知りたい方は、上條信一氏のページに詳しく解説されていますので是非こちらを参照下さい。
■ コンセプト
マッキントッシュタイプCSPPで最もシンプルかつ安定な回路(もちろん直結で)、さらにローコストを目指しました。
今回起用したロシア製の 6C19P(6S19P:6С19П)は細身の 9pin MTの姿態に似合わず、そのプレート形状からも見た目いかにも頑丈そうな作りのレギュレーター管で、小振りながらも低rpなので有名な金田明彦氏のDCアンプを始めとするSEPP-OTLに賞用されました。
その低rpと低電圧動作故に普通のシングルやPPアンプに利用された例は殆ど見かけませんが、レギュレーター管の特徴でH-K間耐圧が250Vと充分に高いのでカソード電位が出力電圧の半分で振られるCSPPには絶好の球です。本機に使用した電源トランスとOPTは旧タンゴ製であり、現行販売されていないものなので何方でも追試可能な状況ではありませんが、電源トランス ST-230 (後のISOタンゴでは S-2077 受注生産?)は春日やノグチ等で特注も可能ですので、比較的容易に入手出来ます。しかし、OPTを特注するとかなり高く付いてしまいますので現時点ではオークション等で中古品を見つける方が安上がりです。かく言う私もPT、OPT共にオークションで入手したものを使用しました。
■ 回路について
マッキントッシュタイプCSPPで2段増幅となると、その特徴的な出力段のゲインが50%の帰還により2倍未満でしかない故に初段でその殆どのゲインを賄わなければなりません。
通常のOPT付き管球アンプでは各段で増幅のあとOPTでインピーダンス変換すると共に1次:2次の変圧比(巻数比)でゲインが減少しますが、出力段のインピーダンスを低く出来ればOPTでの変圧比が小さくて済むのでゲインの減少を抑える事が出来、その結果同じ出力を得るためのOPT1次側の信号電圧も低くて済みます。と言うことは、出力電圧の半分がドライブ電圧に重乗されてしまうマッキントッシュタイプCSPP出力段ではなるべくOPT1次側信号電圧が小さい、すなわち1次インピーダンスが低い方がドライブが楽になります。それ故にCSPPには内部抵抗rpが低くOPTの1次インピーダンスを低く設定可能なレギュレーター管が向いているのです。
極端な例として直接スピーカー負荷のOTLにしてしまえばドライブはずいぶんと楽になりますが、ご存じのように真空管の内部抵抗は標準的なスピーカーの8Ωという負荷に対して適切ではありません。それ故にマッチングトランス付きのSEPPアンプが存在するし、そもそも真空管のOTLでは負荷線がほぼ垂直に立ってしまい、動作時は球の損失オーバーを承知で使うやり方なのです。
マッキントッシュタイプCSPPは1種のSEPPであり、入力も出力も上下対称に動作します。真空管SEPP回路によく見られる上側だけにブートストラップする様な非対称性や金田完全対称回路に見られる電圧配分の非対称(※)もないので、真空管出力回路としての動作対称性に於いてCSPPに優るものはありません。(もちろん素子のバラツキは無視しての話ですよ(^^;)
(※金田完全対称回路は電流ドライブにより上下の電圧の非対称性を吸収し、上下のG-K間ドライブ電圧を等しくした回路ですが、これを完全とは言うには無理が有ります。マッキントッシュタイプCSPPの方が動作も回路図もより対称であることは間違いないです。(^^;)
1.25KΩ負荷線 2.5KΩ負荷線6C19P のEp−Ip特性を見るといかにも内部抵抗の低い球との印象を受けますが、以外にも高電圧領域までリニアリティが良さげです。
左が1.25KΩの負荷線で、右が2.5KΩの負荷線ですが、2.5KΩの方が適正な動作範囲を有効に使える様に見えます。しかしながら、前述したように同じ出力でも負荷線を寝かせると1次電圧が高くなることからCSPP回路では不利になります。
1.25KΩでもけっこう立っているように見えることから、例えパラ接続にしてもOTLのように8Ωを直接負荷するには妥協無しには成立しない無理がある事が判ると思います。(ちなみに2.5KΩの負荷としてP-P間5KΩでA級差動PPを組めば3〜4W程度の出力にはなりそうです。)本機では用意出来るB電圧が180V前後であることと、ドライブ電圧を抑えるために負荷線を立てて1.25KΩとし、パラレル動作なのでその半分の625ΩをOPTの1次インピーダンスとします。実際にはP1-P2間5KΩである CRD-5 の1次巻線はスプリット巻であることを利用してパラにして使う(SEPPの場合と等価)ので普通は1/4の1.25KΩになるところですが、本機では2次側16Ω端子に8Ωを負荷することにより、さらに半分の625Ωとして使います。
OPTは旧タンゴ CRD-5 ですが、CRD シリーズは珍しいことに1次巻線がスプリット構成になっているのでDEPPのみならずSEPPにも応用可能な有難いOPTです。しかもSGタップが50%で出ていることがマッキントッシュタイプCSPPにも応用が出来るという願ってもない仕様になっています。既に上條さんの 6CW5/EL86CSPPアンプ でも採用されています。
Rev. 4 July 2024 |
本機も初製作から既に15年経過しましたが、これまでの経験則に基づいてCSPPの動作で最も合理的なドライブ法 としてブートストラップでもP-G帰還でも無い50%KNFのみが無理がなく合理的な選択だと思うようになり、小変更を加えました。
■ 変更について
以前のRev.3では初段の負荷抵抗82Kの電源を出力段のプレートから取っていた為にP-G帰還でした。
この初段カスケードの負荷抵抗82Kに+B1から直接電源を供給することでP-G帰還を無くし、出力段の動作はカソード側50%の負帰還だけにします。
■ 回路図 Rev.4
■ 電源回路
電源はRev.3から変更ありません。
■ 基礎体力 (諸特性)
Rev.4 Rev.3 Rev.2 Rev.1 最大出力(ノンクリップ) 7.5W 7.5W 9.0W 6.5W 最大出力(5%歪み) 8.0W 8.0W 9.7W 8.0W オープン・ゲイン 31.1dB 27.8dB 29.4dB 26.9dB クローズド・ゲイン 20.9dB 19.8dB 20.5dB 19.5dB 高域カットオフ (No-NFB) 35KHz 35KHz 20KHz 31KHz 高域カットオフ (Over All) 110KHz 100KHz 55KHz 95KHz ダンピングファクター 11 9.1 10.6 4.6 残留ノイズ 0.2mV 0.2mV 0.5mV 0.15mV
■ 雑感
出力は変わりませんが、Rev.3で100KHzだった高域−3dBポイントはRev.4では110KHzとなり、ダンピングファクターと共に 僅かながら改善しています。
Hybrid Chassis |
■ 引越
仮シャーシによるバラックセットから引越しの様子です(^^;)
安くあげようと思いケチな材料ばかりでシャーシを作っているが、安っぽさを補うために今度は手間がかかる(>_<)
端切れのアルミアングルとアルミ板に天然木の天板は100均で買った《まな板\105-》、側板兼足はなんとバルサ材という超手抜きモード(^^;
回路がハイブリッドならシャーシもハイブリッドなのだ v(*^_^*)v
それでも塗装するとそれなりに見えてくるから、ちったあ努力の甲斐があったというもの(^^;
やっと引越完了!
後ろ姿もシンプル。
ハラワタ、底が浅いので電解コンデンサの配置を決めるのにあれこれ悩んだ末、なんとか収まった。
電解コンデンサの固定は不充分かも知れないが、某○○急便で輸送でもしない限り大丈夫か?(^o^)
Rev. 3 Jun 2010 |
6L6CSPP(+P) Rev.4 の無帰還状態ではトランスの特性により高域カットオフが低めの42KHzでしたが、Rev.5 ではNFBをかけて110KHzと上昇した事により予想以上に音質が前進しました。
本機に於いてもRev.2ではRev.1よりも却って低下してしまった高域特性を改善すれば、音質にも御利益があるに違いないとの思いから小変更を加えました。
■ 変更について
高域低下の元凶となっているのはMOS-FETのゲート容量Ciss/Crssです。
シンプルさと安定性を狙ったMOS-FET差動の初段はその大きすぎる入力容量(Ciss)と帰還容量(Crss)によるミラー効果により制限を受けていたわけです。
これはやはり常套手段であるカスケード回路として 2SK79 を初段に起用し、 2SK3301 をそのまま上に重ねる構成とし、MOS-FETのゲート容量Ciss/Crssによる影響を排除します。
■ 回路図 Rev.3
2SK3301 のゲートは6Vに固定。
これは低いように見えますが、此処の電圧を例えば24V等としてしまうと初段のドライブ電圧が圧迫されて出力が低下します。カスケードにそのまま 2SK3301 を使いましたが、高耐圧(最低でも250V以上)トランジスタ(2SC4572等)でもOKです。
もちろん K79 同士 K3301 同士で熱結合が必要です。
■ 電源回路
嵩上げ電源部の倍電圧整流もブリッジとしてリップル低減しています。
■ 基礎体力 (諸特性) Rev.3
Rev.2 Rev.3 最大出力(ノンクリップ) 9.0W 7.5W 最大出力(5%歪み) 9.7W 8.0W オープン・ゲイン 29.4dB 27.8dB クローズド・ゲイン 20.5dB 19.8dB 高域カットオフ (No-NFB) 20KHz 35KHz 高域カットオフ (Over All) 55KHz 100KHz ダンピングファクター 10.6 9.1 残留ノイズ 0.5mV 0.2mV
■ 雑感
弱冠出力が低下してしまいましたが、Rev.2でちょっと低めの55KHzだった高域−3dBポイントはRev.3では100KHzとなり、他のアンプと遜色ない特性となりました。
音質も予想どおりの進化を遂げ、実用的な省エネアンプとして暑い夏には主役として活躍することになりそうです。
Rev. 2 Jun 2010 |
A3000(改) や MQ80(改) は回路変更により驚く程の音質改善を遂げました。
それに伴い本機の音が物足りなく聞こえるのはある意味しょうがないというか、ハイブリッド構成であるが為の違いなのかとも考えていましたが、改めて聞き比べると当初は不満の無いと表現していたのに今や物足りなさを感じます。
それはまるで下手なNFBを施したアンプのような(例えるべくも無く下手ですが(^^;)躍動感の乏しい平面的な音に聞こえてしまうのです。
なんとかしなければと思いつつも1年以上ほったらかしでしたが、とうとう我慢出来なくなり改良に踏み切りました。
■ 変更について
Rev.1 では安定性を重視したために出力管のG-K間の抵抗を電流ドライブしていましたが、これによりCSPPの一つのメリットである50%のKNF効果をキャンセルしていました。この場合は初段・出力段ともに局部帰還が掛からず、それぞれの非直線性はオーバーオールのNFBによって総合的に矯正していたことになります。
Rev.2 ではG-K間抵抗の電流ドライブではなくP-G間抵抗を電流ドライブしてP-G帰還を利用しつつCSPPのメリットである50%KNF効果も併せて内部抵抗低減を計っています。
■ 回路図 Rev.2
P-G帰還を併用といっても、6L6CSPPP や超3結のような帰還管は使わない抵抗だけのP-G帰還回路です。
何のことはない、G-K間の抵抗をP-G間に繋ぎ換えて抵抗値を20KΩ→82KΩにしただけで他は一切変更ありません。
■ 基礎体力 (諸特性) Rev.2
Rev.1 Rev.2 最大出力(ノンクリップ) 6.5W 9.0W 最大出力(5%歪み) 8.0W 9.7W オープン・ゲイン 26.9dB 29.4dB クローズド・ゲイン 19.5dB 20.5dB 高域カットオフ (No-NFB) 31KHz 20KHz 高域カットオフ (Over All) 95KHz 55KHz ダンピングファクター 4.6 10.6 残留ノイズ 0.15mV 0.5mV Rev. 1 ではカットオフポイントはもう少し上でしたが、Rev. 2 では初段ドレイン負荷が大きくなった為に得られたゲインとトレードオフで高域限界は低下しています。
NFB量も 8.9dB とゲイン上昇と共に増えています、おかげでダンピングファクターは 10.6 となり、 MQ80(改) とほぼ同じになりました。
残念なことに、ゲインと共に残留ノイズも上昇してしまったのは想定外でしたが、入力周りの配線で拾ってしまっているようです(後日修正予定)。局部帰還とオーバーオール帰還の相乗効果でクリップ直前までの歪率が Rev.1 に比べ大きく改善し、最大出力も10W近くまで上昇していますが、残留ノイズのせいで低出力側の歪率は思った程下がりませんでした。
f特はご覧のとおりで初段MOS-FETのCis/Crsの影響を大きく受けて高域カットオフは低めです。
これを改善するには初段を変更してJ-FETと高耐圧TRにてカスケード回路とするしかないでしょう。
■ 雑感
元々安定性を重視してG-K間抵抗ドライブ回路にしていたのですが、音質に不満を感じるようになるとアンプそのものの存在意義が薄れてしまいます。
相変わらずシンプルを優先して抵抗のみの変更にてP-G間のドライブですが、残留ノイズと高域カットオフはまだ改善の余地があります。
変更後の安定度ですが、ドリフトによるOPTアンバランス電流は Rev.1 の1mAに対し Rev.2 ではなんとか2mA程度に収まりました。
但し、初段の熱結合がきちんと出来ていないと全く安定しないので要注意。拙作でも右chは熱結合をやり直しました。一部犠牲になった特性と若干の安定性悪化に目をつぶってもその音質は確実に改善しました。
以前 Rev.1 では「私的に不満のない音」と書きましたが、その Rev.1 は結局不満になったので、Rev.2 は『A3000(改)や MQ80(改)にひけをとらない音』とでもしておきましょう。
Rev. 1 Mar 2009 |
■ 回路図
能動素子は片チャンネルあたり5個です。
本機では初段にMOS-FET 2SK3301の差動増幅とし、 6C19P のG−K間に接続した抵抗を直接電流ドライブすることで必要充分なゲインと安定度を確保しています。電流ドライブすることにより出力段のカソード・グリッド間に帰還電圧が発生しないのでドライブは楽になりますが、出力段のKNF効果は失われます。
当初MOS-FETには暫定的に 2SK215 を使っていましたが、アイドリング状態で130V付近のドレイン電圧が信号のピークで約240Vにも達するので、定格電圧が180Vでしかない 2SK215 を恒久的使用することは出来ません。幸いにも実験中に壊れることは無かったのですが、半導体の場合は真空管と違って信号電圧のピークでも最大定格を超える設計はタブーです。
2SK213〜216 は入力容量Cissが90pF、帰還容量Crssも2.2pFと小さいのとVgs-Id特性が0Vから立ち上がり、いかにもオーディオ用途には有難い特性です。 今回採用した 2SK3301はスイッチングレギュレータやDC-DCコンバータ用途であり、オーディオ用途ではありませんが、耐圧が900Vと真空管の高圧回路には大歓迎。しかし、気になるCissが165pF、Crssも6pFと K215 と比べてそれぞれ約2倍と3倍の容量なのが弱冠見劣りするところですが、それでも一般のパワーMOS-FETに比べればまだまだ小さい方です。Vgs-Id特性が約2.4Vからの立ち上がりであっても本機の様な初段差動増幅に使う場合は全く問題にはなりません。
但し、K3301はSMT(表面実装)を前提にしたパッケージなので普通の放熱器に取り付けようとするとそのままでは出来ません。今回は右の写真のような0.5mm厚の銅板に直接ハンダ付けしてから絶縁シートを挟んでネジ止めすることにより放熱と熱結合をしています。さて問題の入力容量Cissと帰還容量Crssの影響ですが、初段の高域特性を制限してしまいますのでなるべく小さい方が有利です。無帰還状態において K215 でのカットオフ周波数は100KHzでしたが、K3301では案の定31KHzにまで低下しました。
しかしながら、現在市場で購入可能なMOS-FETで高耐圧かつ入力容量の小さいものを探すと K3301とあと2〜3種類しか使えそうなものがありませんでした。 K3301はその販売価格も1個84円と安いことから(サトー電気にて)10個購入してId=3mAにてペア選別しました。 高域特性のためにCiss/Crssはもっと小さいに越したことはありませんが、NFBが前提の本機ではそれを逆に利用して位相補正を省略することが可能です。(K215で採用していた微分補償は不要になりました。)
また、当然ながらMOS-FETではなくJ-FETと高耐圧TRにてカスケード回路等にすることも選択肢のひとつですが、本機では何よりシンプルさを優先してMOS-FETだけの差動回路にしています。
MOS-FETはgmが大きく、その動作は真空管よりも遙かに安定です。
本機ではMOS-FETによる高gmでのドライブ電流を直接出力段G−K間の抵抗に流し、その電圧降下で出力管を駆動する方式なので出力段のKNF効果はありません。従ってこのドライブ方式だと出力段のゲインはほぼ 6C19P のμである2.2倍程度が得られます。しかし、KNF効果が無いことにより無帰還での高ダンピングファクタ(DF)は望めませんので、初段MOS-FET 2SK3301のgm(Yfs)がもたらす裸ゲインが大きいのを幸いにオーバーオールNFBにより実用的なDFとゲインを実現しています。電源投入時の挙動に関しても、出力管のヒーターが暖まる前に初段の電流が出力段のバイアス電圧を発生するので、悠長に後から立ち上がる出力管はロフチンホワイトのような危険にさらされる心配がありません。
MOS-FETは電流性の素子であり、温度変化に対しても負の特性を持っているために安定動作が可能で、定電流回路で制限された初段差動アンプが 6C19P のG−K間抵抗の電圧を電流制御するためにアイドリングでもPPバランスにおいてもすこぶる安定動作しています。
但し、当然のことながら初段のMOS-FETは熱結合するのですが、電流が3mAと少ないかわりに動作電圧が130V近辺になるので約390mWの発熱があるわけです。それを熱結合すると倍の780mWの放熱を考慮する必要があるために結果的に前述の写真の様な銅板になりました。(他にいい手があったら教えて下さい m(_ _)m)動作中のドリフトはOPTの許容範囲であるアンバランス電流8mA以下を余裕で下回る1mA程度です。
初段が真空管の場合はこうはいきませんので直結アンプではハイブリッドのメリットを最大限に生かせます。
■ 電源回路
電源もなるべくシンプルにしました。
本来ST-230 (S-2077)は倍電圧整流用のトランスであり、135V巻線からは倍電圧で230mA、ブリッジ整流の場合はその倍の460mA取り出せる勘定になります。しかも6.3V2A巻線が4回路あるので、このトランスには 6C19P を8本賄えるだけの容量があります。
B電源はブリッジ整流で約185Vを得た後に負側に倍電圧整流を積み上げて(積み下げる?)嵩上げ電源としています。
+B1と+B2間の47KΩブリーダー抵抗は必ず入れる必要があります。これが無いと調整時にブリッジ側と倍電圧側にアンバランスを生じ、所定の電圧にならず調整出来なくなってしまいます。初段定電流用の負電源は−6〜−12Vもあれば充分なのですが、使える巻線が36Vしかないため−50Vになってしまいました。
6C19P のヒータは上下で直列にして12.6Vで点火しています。上下でヒーター電流を揃えることによりPPバランスを崩れにくくします。
■ 基礎体力 (諸特性) Rev.1
※初段MOS-FET 2SK3301 2SK215 最大出力(ノンクリップ) 6.5W 6.5W 最大出力(5%歪み) 8.0W 8.0W オープン・ゲイン 26.9dB 27.8dB クローズド・ゲイン 19.5dB 19.5dB 高域カットオフ (No-NFB) 31KHz 100KHz 高域カットオフ (Over All) 95KHz 200KHz ダンピングファクター 4.6 4.6 残留ノイズ 0.15mV 0.07mV MT3極管故に大出力は望めませんが、必要にして充分なパワーであると言えます。
2SK215 ではカットオフが200KHzにも達する勢いでした。
2SK3301 ではCisが災いして95KHzのカットオフ特性となって弱冠見劣りしますが、充分広帯域と言える数値です。残留ノイズはすこぶる小さく、ハイブリッドで2段構成というシンプルさが大きく寄与しています。
これは初段MOS-FETのバラツキと出力段 6C19P のバラツキが上手くバランスした場合に0.1mV以下になることもありますが、左右のchで見ているとどうやら平均的実力は0.1〜0.2mVと云ったところです。以下は 2SK3301 での測定結果(NFB 7.4dB)です。
■ 音質傾向
9pin のMT管から出ているとはとても思えないほどの重厚感があり、定位感・透明感も申し分ありません。
たかだか8W x 2 とは言えけっこうパワフル、拙宅のSPでパワー不足を感じることはありません。
文字で音質を表すのは誤解のもとですので「私的に不満のない音」とでもしておきましょう。
Last update 2-July-2024